土壁のいえづくり -atelier musosha-

土壁は、防火性、蓄熱性、遮音性、調湿性に優れ、日本の気候風土に合うといわれています。土壁に使う材料は、その地域で入手しやすいものを用いることもあって、仕上げはローカル色に豊かで、それらの種類や調合・工程の違いによって、さまざまな表情を見せることができます。また、そのほとんどは天然産またはそれに近いものなので、環境に対する負荷も少ない、持続可能な循環型の生産システムだといえます。

土壁に使う材料は、土、竹、藁、木、砂、そして少しの釘。石油化学製品を一切使わない工法です。そして、一昔前の日本ならどこでも当たり前に手に入った材料。日本人の生活に密着した、日本の原風景をものがたる工法といえるかもしれません。

土壁は、柱を貫通させて取り付けた貫に、土を塗る下地”小舞竹”を編んでつくっていきます。ちょっと手間がかかるけど、つくり方のルールさえ守ればだれでも家づくりに参加できます。また、通し貫と柱の構面内に構造壁をつくる土壁は、地震などに対して粘り強い靭性に富む構造だといわれます。

そして、壁土壁は”呼吸する壁”といわれるように湿度などの室内環境を調節したり、VOCとは無縁の材料であるなど、住む人にも、家の木にもやさしい構造です。

こんなにいいところたくさんがある土壁。興味わいてきました?

告示1100号とは、”建築基準法施行令第46条”で木造の構造について定められた壁倍率を補足する規定ですが、平成15年の改正により、土壁の壁倍率の新しい基準が示されました。

木造建築物を設計するときには、地震や風など建物に影響を与える力に対して耐えることのできる壁(耐力壁)をつくって、それが建築基準法に適合しているかどうかの計算(壁量計算)をしなければいけません。・・・いけませんというか、他の構造に比べたら小規模な木造住宅だったら”この程度でよい”と緩和されているのですが・・・。

その壁量計算をするときの”壁の強さの基準(壁倍率)”が、建築基準法施行令46条に定められている従来の土壁は「0.5倍」なのですが、告示1100号第1-5に定められた仕様でつくると「1.5倍」までまでみることができるようになりました。

現在の土壁の工法は、土壁を”構造の壁”として考えるつくり方と、調湿や断熱など室内気候の調節を主な目的とした”機能材としての壁”として考えるつくり方がありますが、告示1100号の土壁は”構造としての土壁”の仕様ともいえます。

これにより、貫と土壁だけで建物を設計することも可能になり、土壁の可能性がさらに広がったといえます。

《告示1100号の具体的な仕様》
『貫』は、厚さ1.5cm以上、幅10cm以上のものを、91cm以下の間隔で3本以上設け、柱との仕口はくさびで固定する。
『間渡し竹』は、幅2cm以上の割竹または経1.2cm以上の丸竹とし、柱および梁・桁・土台などの横架材に差し込み、貫にSFN25同等以上の釘で打ち付ける。
『小舞竹』は、幅2cm以上の割竹を4.5cm以下の間隔で配置し、棕櫚縄または藁縄、パーム縄などで、間渡し竹に締め付ける。
『荒壁土』は、100ℓの砂質粘土(荒木田土など)に対して、0.4kg以上0.6kg以下の藁すさを混合したもの。
『中塗土』は、100ℓの砂質粘土(荒木田土など)に対して、60ℓ以上150ℓ以下の砂及び0.4kg以上0.6kg以下のもみすさを混合したもの。
上記のものを以下の塗厚で施工する。

 中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚7cm以上 → 1.5倍

 中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍

 中塗土を片面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍

文字で書くと、なんだかムツカシイですが、従来の土壁のつくり方に、ほんの少し品質管理をしっかりしてあげれば、告示1100号に適合した土壁になるはずですので、検討する価値があるのではないかと思います。
自分たちでつくる土壁の家
~「金指原の家」のいえづくり~
静岡県浜松市で、”自分たちでつくる土壁の家”をキーワードに、無垢材と土壁といった伝統的な材料を使い、ワークショップをまじえて、自分たちでできる工事はなるべく自分たちで行ながらつくりました。そんな「金指原の家」の工事の様子をご覧下さい。
上棟して建物が姿を現しました
柱には通し貫が固定されています
柱・梁の間渡し穴に間渡し竹を差し込み、釘で貫に固定します
藁縄や棕櫚縄で、縦の小舞竹を横の間渡竹に固定していきます
縦ができたら、横の小舞竹を縦の間渡竹に固定していきます。
出来上がり。
どろこん(荒壁土)搬入。現場で土からつくるのが本来ですが、どろこん屋さんというシステムがあるので。
藁すさをつくって、どろこんに混ぜあわせます。
コテ板に土をのせて、小舞に塗りつけていきます。
裏側に”むにゅ”と土がでて来るくらい押さえつけて塗りつけます。なかなか、キモチヨイです。
こんな荒技も・・・。コテが使えなくても楽しめます。ただし、手袋着用で手荒れに気をつけましょう。
表を塗り終わったら、時間をおいて裏も塗ります。
荒壁出来上がり。
表面が十分ひび割れするまで養生します。
中塗りの前に、土壁仕上げとなる壁には”のれん”や”ひげこ”を打ちつけます。
貫が表面に出ているところは”貫伏せ”をおこないます。
中塗り前に表面を平らにする作業”むらなおし”をおこないます。
中塗土を塗って出来上がり。室内なら、とりあえずこれで仕上げでもOK。参加者の手形なんかを押してもいいでしょう。
中塗り後十分に養生してから、仕上げの上塗りをおこないます。
土や漆喰などに、いろいろなものを混ぜて、いろいろな仕上げができます。
アイデア次第で、いろいろなデザインも可能。